業務用スープを使いこなすことも、選択肢のひとつとして考えられるということである。
もともと業務用スープは、スープを煮出す手間と時間を短縮させるコンビニエンスフーズのわけだが、最近は、各メーカーとも品質をぐんと向上させてきている。
背景には、中国料理店も含めた、人手不足や人件費の問題がある。
つまり、いわゆる『手抜き」の発想ではなく、厨房の合理化を目的にしているわけだ。
業務用スープのメリットは、手間が省けるということばかりではない。
使いこなすことで、スープの品質にも役立てることができる。
まず、一定の仕上がりになっているから、味の均一化が図れる。
手づくりには手づくりのよさがあるのだが、注意しないと日によって味のバラツキが出ることがある。
毎日同じ味に保つには、だしの材料の品質や鮮度からチェックし、分量や煮出し時間も正確にしなければならない。
また、材料の状態や季節によっては、微妙な手直しも必要になってくる。
プロにとっては何でもないことだが、素人の場合はむずかしいコントロールといえよう。
極端な話、悪い材料を使っている手づくりスープよりも、コンビニエンススープのほうが、ずっとおいしいというのも事実なのである。
しかも、最近の製品は、あくまでベーススープとして製品化されているものが多い。
鶏ガラや豚骨を香味野菜などと一緒に煮出したままの状態で、余分な味つけはいっさいしていないというものだ。
したがって、ベースにさらに材料を加えることで、独自のオリジナルの味をつくり出すことは、十分に可能なのである。
ひと口にラーメン店といっても、メニューの品揃えはいろいろである。
醤油ラーメン、あるいは豚骨ラーメン一品のみというお店もあれば、ラーメンかチャーシューメンだけというお店もある。
反対に、醤油味、味噌味、塩味とベースを揃え、さらに、具の変化でバリエーションを増やしているお店も少なくない。
また、いわゆる日本風ラーメンではなく、本格的な中華麺を売り物にして、タンタン麺とかジャージャー麺といった、中国料理店の麺類と同じようなメニューを何品か並べて人気のお店もある。
単品メニューがいいのか、それともいろいろなバリエーション.メニューを揃えたほうがいいのか。
実は、この質問に対してはただひとつの正解というのはない。
たとえば、単品商売にはいろいろなメリットがある。
ラーメンのみ、ないしはラーメンとチャーシューメンしかない場合、まず、材料ロスの危険性はほとんどなくなるといっていい。
調理作業は非常に単純化されるから、次々にお客が入って来たとしても、どんどんさばいていける。
このやり方の基本形は屋台だが、「あそこのラーメンは」という評判さえつかめば、もっとも効率のよい商売になる。
単品商売のお店では当然、メニューを選ぶ楽しさはないのだから、ファミリー客やグループ客をつかみにくいという欠点がある。
決まり切ったメニューでは必ず飽きられるから、オフィス街のランチタイム戦争でも不利は否めない。
もちろん、そういう立地でも毎日行列ができるお店もあるわけだが、そこまでになるのは並大抵のことではない。
一方、バリエーション.メニューを品揃えしたお店は、まず幅広い客層を狙いやすいということがある。
ひと口にラーメン好きといっても、シンプルなラーメンでは物足りないとか、具のボリュームがないと満足できないというお客も、けっこういるからだ。
それぞれの好みの商品を選べるから、グループ客も取り込みやすいし、毎日のように通っても違うメニューを注文できれば、飽きられる心配はない。
いろいろな具を用意すれば、それだけ材料ロスの可能性が高くなるわけだし、複数の違ったメニューを同時に注文されたときの対応にむずかしさが出てくる。
手の込んだメニューを置けば置くほど、ラッシュ時に混乱してしまう。
ところが、ラッシュ時を想定して人を増やすと、人件費のムダが出やすくなってしまう、というジレンマを解決する必要が出てくる。
何でもメリットがあれば、必ずデメリットもある。
要は、選んだほうのメリットをできるだけ生かして、デメリットはできるだけ打ち消す努力をするしかないわけだ。
いずれにしろ、成功するための基本は、強烈な個性のある商品、他店にはない独自性だ。
バリエーションがいくらあっても、商品としての付加価値が低ければ、何にもならない。
ラーメンに限らず、中華味は日本人が大好きな味である。
なぜ好きなのか。
小さな子どもでさえ好むのだから、基本的に日本人に受け入れられやすい味だということはわかる。
次に、その理由を考えてみよう。
なぜなら、どういう味が支持されるのかを知ることは、オリジナル商品を開発するための大事なヒントになるからである。
まず、鶏ガラや豚骨などでとるスープの味が、日本人好みの味なのだろう。
とくに、若い人たちは、そば.うどんの純和風の味よりも、脂っこくコクの深い中華味や洋風の味を好む傾向が強い。
したがって、豚骨などガラ類の臭みさえ取れれば、基本的には受け入れられる味に近づくことになる。
あとは、香味野菜や漢方薬などを混ぜて煮出すことで、スープ自体に独自の風味をつけていけばいいわけである。
スープは味のベースだから、そこに個性を出せば、スープを使うすべての商品に当店独自の味を表現できるのだ。
次に、味つけということで考えてみよう。
中華味には複雑かつ微妙な味もいろいろあるが、ラーメン店レベルで関係のある基本の味は、次の六つといえる。
つまり、醤油味、味噌味、塩味、甘辛味、ニンニク味、唐辛子味である。
実は、大衆中国料理の主要な味つけなのだが、当然、麺類にもそのまま応用されている。
問題は、これらの味をどう生かすかということだ。
たとえば、醤油味といっても、味の幅は広い。
濃口醤油一種類のタレだけで味ケースお店も多いが、二種類、三種類の醤油をブレンドしているお店もある。
醤油味自体に深みが出るからだ。
味噌も同様で、和食では合わせ味噌は常識である。
塩も天然ニガリ成分のあるものかどうかで、味の感じはずいぶん違ってくる。
醤油、味噌、塩の3つの味に関しては、日本人は非常に敏感だ。
A店とB店のタレのわずかな違いも感じ取る。
だから、そこにちょっとした工夫をつけ加えることが、お客の支持につながるのである。
甘辛味というのは、酢豚とか八宝菜といった五目旨煮の味つけのことである。
一般にカントンメンと呼んでいるのは、八宝菜を具にして麺にのせた中華麺だが、中華の炒めものの基本的な味つけのひとつだから、いろいろと応用もしやすい味である。
ニンニクと唐辛子については、使い方によって味の感じがかなり違ってくることに注意してほしい。
たとえば、生ニンニクをすりおろして、そのままラーメンにのせるお店も少なくないが、女性客には嫌われる。
ところが、イタリアンの人気からもわかるように、女性客は意外とニンニクの風味が好きなのである。
そこで、スープの隠し味として多めに使い、風味だけを楽しんでもらえる工夫をしているケースもある。
オリジナル.ラーメンといっても、最初から構えて考えることはない。
基本の味つけをどうアレンジするか。
その工夫だけでも、個性的なラーメンに仕上がるのである。
いまや、「健康」にいいか悪いかということは、あらゆる価値判断の基準になっている時代である。
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